第3章 僕と「はじめまして」や、その他諸々。
『ダチの表と裏の顔』
オフを使ってアルマトイに遊びに来たユーリは、オタベックと守道のバイクで日帰りのタンデムツーリングに出かける事になった。
「バイクの走行は充分気を付けろよ。運転は交代で行う予定だが、少しでもふざけた真似をしたら、即刻やめさせるからな」
「判ってるっての!俺だっていつまでもガキじゃねぇんだから!」
オタベックの言葉にユーリはうんざりとした顔をするが、自分達から少し離れた場所で自分のバイクの準備をする守道が笑っているのに気付くと、彼に声をかけた。
「何笑ってんだよ、センセー」
「いや、君ら仲良いなあって」
「いくら俺がアイツよか年下で、かつてのクソガキ三昧なの知ってるからつっても、ちっと過剰じゃねぇ?」
「バイクは、車よりも事故った時のリスクが半端ないから、ちょっとうるさい位が丁度良いと思うけど」
「けどよぉ、何かいつまで経っても俺を子供扱いみたいで腑に落ちねぇ」
「まあまあ。オタベックは、あれでもユリオくんとのツーリングを本当に楽しみにしてたんだよ。特にここ1週間は、コース確認やオイル交換にマシンの点検ばっかり」
「マジか?」
「ユーリから、ツーリングOKの返事が来た!メットとグローブは俺のスペアを貸すとして、流石にジャケットはもう俺のではサイズが合わないから、貴方のを貸してあげてくれないか?それと…」
「落ち着いて。ユリオくんが来るのは、まだ先だろ?それまでゆっくり用意すればいいさ」
守道の部屋に押しかけたオタベックが、スマホを手に興奮気味に詰め寄ってきたのを、守道は苦笑しながら宥めたものである。
「俺は、そんな舞台裏を見てきたからね。彼がうるさく言うのも、つまらない事で友達の君に怪我して欲しくないからだよ」
不器用な友人の気遣いを照れ臭く感じる一方で、自分には見せない別の顔に、仄かな嫉妬を覚える。
ふと悪戯心が芽生えたユーリは、こちらを見ている友人に近付くと、わざとらしく呟く。
「あんまお前がうるさく言うなら、俺、センセーの後ろに乗せて貰おっかなー」
「ダメだ!」
「お?」
「…あ、そ、その…俺の400と違ってあの人のは250だから、タンデムはこっちの方が良い」
即答の後、我に返ってしどろもどろに弁解する友人の染まった頬を、ユーリは面白そうに眺めた。
