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【YOI・男主人公】小話集【短編オムニバス】

第3章 僕と「はじめまして」や、その他諸々。


『王様の道化師・1』
注意:ノービス時代のJJの過去を捏造しております。


オフを利用して、純は振付師主催の短期セミナーに参加する為、単身カナダに訪れていた。
恋人の藤枝が、幼少期から中学までを家族でカナダで過ごしていた事から、その伝手で滞在先を紹介して貰い、英語もフランス語も堪能な純にとって、あまり不自由はなかった。
…若干の要素を除いて。
「以前からお前の事は、オタベックやユーリから聞いていたんだ。カツキといい、日本人は勤勉な奴が多いな!」
勇利と共に参戦したジャパンオープンが切欠で、同じ大会で戦ったJJことジャン・ジャック・ルロワに、純は妙に気に入られてしまった。
プロに転向した今も『キング』を自称し、テンションの高さや波長のズレが鼻につかない事もなかったが、日々リンクで顔を合わせていく内に、単にビッグマウスなだけでない彼のスケーティング技術や裏表のない性格に、純も次第に好感を持つようになっていったのだ。
ある時、JJの自宅に招かれた純は、彼の部屋で取り留めのない会話をしていると、偶々扉が開いていた彼のクローゼットから、サイズアウトしたと思しきスケートの衣装を見つけた。
「あれは、君が子供の頃の衣装かな?見た所『道化師』みたいやけど」
「…そうだな。まさにこのキングの『道化師』だ」
衣装に気付いたJJは、僅かに姿勢を正すと目を細める。
いつもと違う何処か真剣な横顔に、純が目を丸くさせていると、JJはぽつりぽつりと昔話を始めた。

アイスダンサーだった両親の指導もあり、JJの実力は、ノービスの時点で既に同じリンクのジュニア選手達を圧倒していた。
そんなある日、JJは1人のジュニア選手から声をかけられた。
JJより5つ程年上だったその選手は、この頃は成績も振るわず、周囲からは「もう見切りをつけた方が良いのではないか」とも囁かれていた。
本人も自覚しているようで、「次の試合が最後になると思うから、どうしても3Sを成功させたい」と、JJにジャンプのコツを教えて欲しいと懇願してきたのだ。
「このJJに教えを乞うとは、見上げた心掛けだな!」
年長者相手に尊大も良い所だが、少々天狗になっていた当時のJJは、軽い気持ちで練習の終わった後や空き時間を利用して、彼にジャンプの指導をした。
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