第3章 僕と「はじめまして」や、その他諸々。
『愛について・KISS』
「この伊原礼之、日本男児に二言はなしだ。君はどうなの?ユーリ・プリセツキー!」
「…ちっ、わーったよ!すりゃいいんだろ!?」
太めの眉を吊り上げながら尋ねてきた礼之に、ユーリは舌打ちをすると、半ばヤケ気味に彼に顔を近づけた。
そのままぶつける勢いで唇を触れ合わせようとしたが、背中をやんわりと抱き寄せられ、思わず動きを止めた。
「…何だよ」
「いつだって、僕はユリと真剣に愛し合いたいんだ。特にキスは、僕が君への想いに気付いた大事なものだから、投げやりになんてしたくない」
礼之の青い瞳に見つめられて、ユーリは無意識に顔を赤くさせる。
そんなユーリの唇に軽く触れるだけのキスをした礼之は、そっと笑みを零した。
「約束しておいて良かった。距離が近過ぎると、どうしても些細な事で喧嘩しちゃったりするから。特にユリは意地っ張りだし」
「お前だってすっげぇ頑固じゃねぇかよ」
「うん。でも、ちゃんとユリが約束守ってくれたから助かったよ」
「俺だって、それくらいはするさ。…他でもないお前との約束なんだから」
「…僕もだ。大好きな人と、愛を語る一番はじめの行為だし」
「だからお前は、昔からいちいち言う事がこっ恥ずかしいんだっつーの!」
「捻くれ者のユリには、これくらい直球勝負の方がいいって、長い付き合いで判ってるんだってば!」
いつしかユーリの親戚のダーチャや、礼之のエスポーにあるコテージで、共に夏のオフを過ごすようになった2人は、いつもはじめに約束をしていた。
『長く一緒にいると、時に諍いを起こしちゃうかも知れない。だから、必ず1日の終わりにはキスをしよう。お互いの想いに気付いた切っ掛けを忘れないようにと、僕らの愛を確かめる為に』
まるで互いの愛に息を吹き込むかのように、2人はいつしか深く唇を重ね合っていた。
※この2人は、多分いつまで経ってもラブコメ。