• テキストサイズ

【YOI・男主人公】小話集【短編オムニバス】

第3章 僕と「はじめまして」や、その他諸々。


『初めて見るお前と君』


その日はたまたま虫の居所の悪かった礼之が、ユーリの軽口を看過できずに反発したのが切欠で、かつてない口論にまで発展してしまった。
「いいからもうほっとけよ!僕に構うな!クソっ…」
ここまで声を荒げた礼之は初めてで、ユーリは驚愕に目を見開く。
そして礼之も、己の放った暴言に対する嫌悪や後悔と情けなさに涙ぐむと、ユーリから背を向ける。
大好きな恋人の前で、何て様だ。
ただでさえ自分は年下なのに、こんな醜態を晒しては嫌われてしまったのではないだろうか。
悶々としながら頭を抱えていた礼之は、ふと視線を感じて少しだけ頭を動かすと、口元に笑みを浮かべているユーリがいた。
「…何がおかしいんだよ」
「おかしくなんかねえよ」
「じゃあ、どうしてそんな顔してるの?」
「初めてだから。お前が俺にそんな姿見せたの。何かすっげぇ可愛い」
「馬鹿にしてるのか!?」
追い打ちをかけられたみたいで、感情任せに拳を振り上げた礼之だったが、あっさりとユーリにかわされると、そのまま身体を引き寄せられる。
「喧嘩慣れしてないお前が、『悪童』の俺に敵う訳ねぇだろ」
「離せよ!」
「嫌だ、離さない」
喚く自分とは対照的なユーリの落ち着いた声に、礼之は益々情けなくなる。
「少しホッとしてるんだ。礼之にもちゃんとこういう所があったんだって」
「…え?」
「お前はいつも俺の事気遣ってくれるけど、同時にどっか気負い過ぎてんじゃねぇかってトコあったからさ。僕がこうしなきゃ、みたいな」
図星を指された顔をする礼之の頭を撫でながら、ユーリは言葉を続ける。
「そりゃ毎回こんなのは困るけど、無理を重ねたら疲れちまうぞ。もっと気楽にいかないか?だって…お前とはこれからも一緒にいたいから」
仄かに頬を染めた恋人に、礼之も怒りを忘れて赤くなる。
「僕…無理してるように見えた?」
「『チョット』」
日本語で返されて、礼之はガックリと肩を落とす。
「これからは、今日みたいな所もちゃんと俺に見せろよ」
「カッコ悪いって、笑ったりしない?」
「しねぇよ。だって、さっきのお前に俺すっげぇドキドキしたから」
「…変なの」
未だ拗ねている恋人の唇に、ユーリは初めて自分から濃厚なキスをした。
/ 230ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp