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【YOI・男主人公】小話集【短編オムニバス】

第3章 僕と「はじめまして」や、その他諸々。


『ショコラという名の初心、忘れるべからず』


「そろそろ機嫌直してよ。このまま帰国だなんて、僕イヤだからね」
国際B級大会で顔を合わせた礼之とユーリだったが、又もや些細な事から喧嘩をしてしまった。
中々素直になれないユーリの減らず口が引き金で、更に礼之の頑固さがそれに拍車をかけるのが、彼らが諍いを起こす大抵のパターンである。
喧嘩をしたのが試合が終わった後なのと、本日会場では女子や他の競技が行われているので、クールダウンに充てられるのが不幸中の幸いであった。
また、何だかんだ言いながら偶然同じ滞在先だったホテルの部屋で、自分と一緒にいるユーリの様子から、内心では仲直りをしたがっているのが、礼之は彼と付き合っていく内に理解できるようになっていたからだ。
とはいえどうしたものかと悩んでいた礼之だったが、ふと何か閃いたような顔をすると、それまで腰かけていたベッドから立ち上がり、クローゼットから上着を取り出す。
「10分位で戻るから、留守番お願い」と言い残して部屋を出て行く彼を、ユーリは困惑気味に見送った。

予告通り10分程で戻ってきた礼之の手には、カフェの紙コップが携えられていた。
2つの紙コップの中身をマグカップに移し替えた礼之は、簡易キッチン横の電子レンジにセットすると、自分の荷物から小さな菓子の缶を取り出した。
そこから現れたものに気付いたユーリが、互いの馴れ初めを思い出して僅かに頬を染めている間に、電子レンジの音が鳴る。
ホットチョコレートの入った2つのマグカップに、礼之は小粒のキスチョコを数個落とすと、1つをユーリに手渡した。
「もう過ぎちゃったけど、今月バレンタインデーだったから」
「…日本って変だよな。何でバレンタインにチョコなんだよ。それに、俺は今コーヒーって気分なんだ」
「意地っ張りで我儘ばっかな『ユリ』には、こっちの方がお似合いだよ」
「お前もだろ!…そうやって、俺の事甘やかすから…」
そう言い合いながらも、いつしか2人はソファに身を寄せ合うように坐って、カップを傾けていた。

その後で交わしたキスは、初めての時と同じ位甘かったという。
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