第15章 誕生日譚~前哨
佐奈は頭を抱えたくなるのをどうにか堪えたが、緊張して(どきどきして…とは認めたくない)、つないだ掌がじんわりを汗を孕んでしまうのはどうしようもなかった。
これでは、つないだ手から彼に伝わってしまう。
でも、いきなり手を振り払ったりしたら、それはそれで不審すぎる。
半ば八方塞り状態の佐奈をよそに、だが、色々鋭いはずの煉をして、そのことに気づいていなかった。
何故なら彼もまた、佐奈と同じだったのだから。
(まずい……)
煉もまた、そんな自分を悟られたくなくて、手を離した方が…と、佐奈と同じ思考を抱いていたのだが。
いきなり離したら変に思われるし、そもそも彼女の手を取ったのは自分からだ。
そして…もう一つ、佐奈と異なるのは……。
(まだ…離したくない……)
この手に触れていたい。
より強い、欲とも言える感情ゆえに、煉は佐奈の手を離せないまま、もうすぐだからと道の先を示した。
目的地まで…二人で過ごす、いつもとは違う一日の終わりまで、あと…少し……。