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擬人カレシ~真紅の狼・初めての生徒編~

第15章 誕生日譚~前哨


本当は今、贈りたかった…けれど。
煉は軽く息を吐くと、その申し出に頷いた。

「それでは、お願いします」
「……………」

そのやり取りを、佐奈は座ったまま静かに見つめていた。
本当は取り置きなんてしなくても…と口を挟むこともできたが、今はもう、そうする気にはならなかった。
彼がどうしても…と、ここまで拘ったのだから、その意思を尊重しようという気持ちが、佐奈の中に芽生えつつあったからかもしれない。

佐奈は自分の靴に履き替え、そのまま立ち上がった…途端、支えるようにそっと伸びてきた煉の手に、佐奈はまたどきり、とした。

(こ、こんなの、いつの間に……)

ふとした拍子に女性を支えようとする仕草……。
そんなことを、一体何処で煉は覚えたのだろう?
一人目の先生の元にいる時、いわゆる夜のバイトなんてものをしていたこともある、とは言っていたが……。

(そこで……?)

そう思っても、一瞬、つきん、と胸の奥が痛むような気がして、けれど、佐奈は緩く首を振るようにしてその感覚を打ち払った、と。

「大丈夫?」
「え?」
「疲れさせちゃったんだね、ごめん」

店を離れるように並んで歩きながら、ちょっと反省するように…それ以上に、気遣うように顔を曇らせる煉に、佐奈はそうだよ、と少し頬を膨らませ、それから小さく笑った。

「疲れたっていうより、びっくりした」

あんなことを企んでたなんて、と継ぐと、煉はちょっと肩を竦めつつ、いつものように微笑した。

「企んでるとか、ちょっとひどい言い方じゃない?」
「そ?でも、本当のことだよね?」

それだけびっくりしたんだからね、とねめつける佐奈に、煉はわざとらしく首を竦めた。

「まあ、ね。でも、こうでもしないと佐奈は受け取ってくれないから、って最初に言ったよね? だから今日は俺の『企み』に、最後まで付き合ってもらうから」
「は?」

佐奈は瞠目した。
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