第13章 カフェ騒動
まあ、いわゆるレディファースト的なことを教えたのは自分だったりするし、その方が女の子にもモテるよ、なんて茶化したこともある…のだが、いざそれを自分に向けて実践されると、何というのか……。
なので。
『私にはしなくても良いから』
そう訴えたこともあったのだが。
『何で? それじゃ意味ないでしょ』
そんな風にかわされてしまって、今に至る。
けれど…まあ、出先での彼のレディファースト的行動は、まだ良いのだ(あまり良くないけど)。
本当の意味でのちょっと…かなり佐奈を戸惑わせているものは、実は他にあった。
それは…もう、いつとかそういう限定的なものではなく、常時なだけに心臓に悪い。
例えば洗濯物を干したり、取り込んだり。例えば食器を出し入れしたり。
他にも本棚の本とか、電球の取り替えとか、とにかくもう、生活における様々な場面で……。
『それくらい、俺がやるから』
『取るの、この本で良いの?』
『この高さじゃ佐奈にはちょっと無理だよ。ほら、危ないから俺に任せて?』
あれもこれもどれもそれも、今ではあらゆる面で、ふとした瞬間に煉がサポートしてくれる。
煉に比べて…ついでに、同じ年代の女性の平均からしても、ちょっと低め身長な自分には、何かと手の届きにくいところは多い。
そんな時、煉は以前から何かと助けてくれていたから、今更それに戸惑うなんておかしいはず…なのだが。
(でも…何か……)
何かが…違う、気がする。