第12章 願うものは(煉視点)
煉的にはどちらも普通に楽しめたが、佐奈にはどちらも弱点だったらしい。
尻込みしていた時点で苦手そうかも…とは思ったが、結局OKしてくれたし、初めてのそれを自分は体験してみたくて……。
でもまさか、あれほど弱いとは思わなかった。
絶叫系ではほとんど半泣き状態、
「~~~~~~っつ!!!」
(声も出ないほど怖いのか……)
そして恐怖系では終始腕にしがみつかれた。
「やだやだやだ! もう帰るー!」
「先生、先生。落ち着いて、大丈夫だよ。あれは人形…って、あ……」
「ぎゃー、今何か冷たいのが触ったー!」
「せ、先生、ほら。俺がいるから、ね?」
「~~~っ、煉のバカバカバカ!」
(俺にバカって言われても……)
しがみつかれるだけに終わらず、最後には八つ当たりまでされたが、それはそれで何とも可愛くて、これもちょっと良いかも…なんて思ってしまったのは内緒だ。
が、反面、もどかしくて、どうしようもなく感じたこともあった。
怖さのあまり、彼女がしがみついてきたのは、まあ、ほとんど無意識なのだろうと理解できる。
でもその後、ゆっくりできるようにと乗り込んだ観覧車の中でも、彼女の様子はいつもと変わらなかった。
観覧車だけじゃない。
他のどの場面でも、ふとした拍子に互いの手が触れてしまったりしても…ずっと二人きりでいても、彼女はまるでいつも通りだった。
それに、せっかくだからと食事代を持とうとしても、バイト代が出たからと何か贈ろうとしても、彼女は気にしないで良いから…なんて言って、受けてはくれなかった(お茶した時には、やっとおごらせてくれたくれたが)。
本当に全てがそんな感じだから、彼女にとっての自分は所詮生徒で(それはそれで事実だが)…その上、言い方を変えてしまえば、守るべき…というのか、庇護の対象にしか見えていないんじゃないかとさえ思ってしまう。
そんなこと、望んでなんていないのに。
生徒であることは現実のことだけれど、でも……。
自分の方こそが、彼女を何より大切にしたくて、守りたいと思っているのに。
別に恋人同士というわけじゃないし、告白したわけでもないから、佐奈の反応が平静なのは当たり前…なのかもしれないけれど。