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擬人カレシ~真紅の狼・初めての生徒編~

第2章 共同生活


「大体、私はコーヒーが飲めないわけじゃないし!」
「あれ? そうでしたっけ。でも苦手って、前に言ってましたよね」
「え…言って、た?」
「言ってましたよ。香りは好きなんだけど、味が苦手だって。苦いから…とか、そんなことも確か……」
「え、ちょっ……」

(確かにそうだけど……)

佐奈は目を剥いた。
確かにその通りだ。
悔しいが、煉の言っていることは大正解、だったりする、が。

(そんな話、したっけ?)

反芻して…ああ、したかも、と思い当たる。
でも……。

(あんな、何となくした話……)

リビングで一緒にテレビを見ていたり、なんとなく話をしていたり。
研究所で出されたという課題を煉がやっているのを見ていたり。
そんな合間合間に何となく交わした他愛ない言葉を、彼はどうやらしっかり覚えているらしい。

いや、コーヒーとか猫舌話に限らず、総じて煉は記憶力が良い。
研究所での成績も良いらしい、とは、いつか研究所で仕事中に聞いた話だ。
楽な生徒を持ったね、と羨ましがられたりもしたが。

(そこはちょっと…どうよ?)

確かに煉はいわゆる『出来の良い生徒』の中に入るかもしれない。
頭が良くて記憶力抜群…つまりそれは、これから先、たくさんのことを吸収しなければならないことを思えば、重要な素質なのだろう。
でもそれが『楽な生徒』かと言われれば。

(それは違うと思うし!)

トーストを頬張りながら、ぐ、といつの間にか拳を握れば、煉が空いた皿を静かに片付けて。

「?」

それを何気なく見上げた佐奈を、煉は、に、と口の端を吊り上げながら見返した。

「空いたお皿をお下げいたします。お客様?」
「っっ!」

うぐ、とまたも一瞬噎せそうになるのを必死に堪える佐奈を見て取って、煉はくすくす笑った。
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