第2章 共同生活
「トーストとサラダだけど、朝食できてますよ。早くしないと遅刻しちゃいますよ?」
「~~~~~っ」
何だか良いようにあしらわれているようで悔しい!という前に、はた、と佐奈は固まった。
「ま、また勝手に中に入ってー!」
同居と言っても、それぞれ自室がある。
用があれば普通に行き来だってするし、リビングで一緒に過ごすことも多い…が。
勝手に入って来ちゃダメ、とは佐奈が煉に何度も言っていることなのに。
(また、あの狼は!)
身支度を整えた佐奈が目を吊り上げながら部屋を出ると、煉はしれっとトーストをかじって見せた。
「ちゃんとノックもしたし、何度もドア越しに声もかけましたよ?それでも起きなかったのは誰です?」
「ぐっ」
「あのまま寝てたら遅刻ですよね?」
「…ぅぅ…………」
そう言われると、佐奈も言い返せない。
むむ、と眉間を寄せつつ食卓に着いた、途端、
「可愛い寝顔でしたけど」
唐突な発言に、
「げほっ」
佐奈は飲みかけていた紅茶に噎せ込んだ。
けほけほと噎せる佐奈に、煉は吹き出しながらも立ち上がり、佐奈の背中を撫でた。
「大丈夫ですか? 紅茶、熱かったですか? うーん、でも猫舌の先生でも大丈夫な温度なはずだし。先生の飲めないコーヒーでもないし。変ですね?」
「…あ、あんたは、もーっ」
慣れた手つきで煉が差し出してくれた水を飲んで人心地ついた佐奈は、水のお礼は言いつつも、反面、まだ涙目のまま、きっ、と目に力を込めた。
「わざと言ってるでしょ、もうっ」
確かに猫舌だが、熱かったわけじゃない。
原因は煉が変なことを言うからであって。