第2章 共同生活
じゃあ、先生らしさとは何だ、と言われても、ちょっと困るのだが。
でもやっぱり。
(ダメすぎる……)
いっそがっくり項垂れそうな勢いの佐奈だったが、少しだけ、間を置いてから。
「……行って、きます」
声が返ってきて。
でも驚いて見返した時にはもう、煉は再び歩き出し、ドアの向こうに行ってしまっていた。
そんなことが繰り返し…繰り返しの、彼…煉との日々の滑り出し。
戸惑いの中、模索するように…おずおずと手探りで進む『先生生活』の先に、ずっとこんな風な関わりなのか、それとも、今より少しは親しくなれる日…なんてものが来るだろうか。
あまりな急展開に不安ばかりが先行する佐奈だったが…しかし、現実は彼女の予想を異なる形で裏切ってくれることになる…のである。
* * *
互いが互いの距離を確かめるように…探るように、何処か緊張した関わりは、やがて緩やかに柔らかさを帯び…そして。
「先生? せ・ん・せ?」
「……ん………」
「もう朝、ですよ?」
「……………………」
「イタズラしても…良いですか?」
くすくす、と耳元で笑う気配に、佐奈は跳ね起きた。
「良いわけあるかーっ!」
ばふんっ!と枕を投げつけるが、煉はひらり、と難なくかわして、まだ笑っている。
それが尚更、佐奈には憎らしい。
煉との共同生活を初めて、あれやこれやと模索しつつ、既に三ヶ月近く。
最初の頃との、この違いは一体!?
何がどうして、どうなって…何処からこんな風になったのか?
まあ、いつまでぎくしゃくしているよりは確かに全然マシ…ではあるけれど。
(でも……)
いまいち釈然としなくて、
「こ、この……っ」
言い返そうとする佐奈だったが。