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擬人カレシ~真紅の狼・初めての生徒編~

第6章 夜の顛末


佐奈の見た限り、今夜出会った彼女は友達にしたいとは思えないタイプではあったが、煉にとってもそうであったという確証はない。
何より、そこまでレベルアップに貢献してくれた教師であるなら、尚更だ。
だがそれを訊くことで、これ以上、煉に嫌なことを思い出させてしまうとしたら。
継ぐ言葉を躊躇う佐奈に、シオンもまた、それ以上を語るつもりはなさそうだった。

「これ以上詳しいことを知りたければ、そこで拗ねている狼から直接聞きなさい。それから重ねて言っておきますが、今夜のことに関しては、貴女も煉も不問とします。獣化して二度までも飛び込んできたことも…まあ、大目に見ておきましょう。今回はガラスも無事なようですしね」

先生思いの行為に免じて…と囁かれた声は小さく、耳の良い狼だけを反応させたが、煉は知らんぷりを貫いている。
と、そんな応酬など知らない佐奈は、消えない不安に眉間を寄せた。

「でもシオンさん。あの人は……」

今夜は不問であっても、彼女が再び現れれば、次はどうなるか分からない。
皆まで続かなかった言葉は、しかし、シオンにはお見通しだったらしい。
彼は、ふ、と意味ありげに口の端を吊り上げた。

「問題ありません。今夜のことは彼女のペナルティです。しっかりと支払っていただきますから」
「ペナルティ?」

いきなりの不穏な言葉に佐奈が首を捻れば、

「教師でなくなった者は、かつての生徒に安易に接触してはならない。また同時に、その新たな教師に接触…もしくは吹聴や阻害となるような行為もしてはならない。つまりは、一度関わりを断った存在に、余計な真似はするなということですが」

さらさらと流れるように連ねるシオンの言葉に、確かにそんな制約があったことを佐奈は思い出した。
擬人化の教師となる為の資格試験にも出てくる問題だし、テキストにも記載されている。
しかし、それをここで耳にすると思わなかった佐奈は一瞬きょとん、としてしまったが、当のシオンは涼しい顔で、

「彼女は今回、そのどちらも破ったことになりますから」

そう静かに…というより、何処か冷たく呟くと、とん、と指先で机を弾きながら、佐奈を見やった。

「いずれにしろ、貴女方の生活が彼女によって乱されることは、二度とありませんから、ご心配なく」
「………………」
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