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擬人カレシ~真紅の狼・初めての生徒編~

第6章 夜の顛末


シオンによって語られたそれは、端的に言えば、全ては一人目の教師と、その生徒との相性の悪さから端を発したもの…ということだった。

「研究所内でのカリキュラムを通常より高いレベルで修了した彼は、ある女性の教師候補との面接を経て、正式にその生徒として教師との共同生活に入りました」

語るシオンの眼差しが、そのまま狼に注がれる。
気づいた狼は僅かに顔を上げたが、すぐさまふい、と目を反らし、佐奈の足に顎を乗せてしまった。
「ぇ……っ」
これに驚いたのは佐奈だったが(こんなことは初めてだったし)、狼こと煉はそのまま自然体で寛ぎモードに突入してしまい。
シオンも構わず続けた。

「教師との面接は重要です。特に元が動物である彼らは、人間よりも総じて勘が鋭い。自らと相容れるか否か、その差異は後に致命的なものとなる場合があります。ですが擬人化して間もない彼らの中には、かつてとは異なった、慣れない自身の身体ゆえに、一時的に勘を鈍らせてしまうもの…あるいは面接をそれほど重視せずに教師を定めてしまうもの、その双方…とまあ、理由は様々ですが、いずれにしろ、馴染めぬ相手と師弟の関係を結んでしまえば、行き着く先があまり芳しくないだろうことは想像できるでしょう」

それは…煉と、最初の教師のことを言っているのだろうか。
佐奈は膝の上で、薄らと汗の滲む手を握りしめる。
無言で聞き入る佐奈を横目に、シオンは言葉を継いだ。

「生徒として新たな生活を始めた彼の学習能力は目覚ましいものがありました。三ヶ月であれだけのレベルアップ…つまり、人間社会に関する知識と適応力を身に着けるのは、誰にでもできるものではありません。当時、教師であった彼女も、あちこちで自慢して歩いていたようです。ただ…結果として、その生徒…煉は夜陰に乗じて獣化して逃走を図り、セキュリティ無視で窓ガラスを破って所内に侵入し、ある部屋に飛び込んだのです。まるで今夜のように……。そしてその後のことは、貴女も身をもって承知のことでしょう」
「……………」

佐奈はシオンの視線を受け止めながら頷き、やがて俯いた。
あの部屋に突然現れた彼女の言葉は本当だった…でも……。

「でも、どうして……」

どうして煉は、一人目の教師から離れる道を選んだのか。
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