第20章 新しい関係
『ごめん。変に思ったよね』
「変、っていうか。だって、そんな風に考えてたなんて思わなかった……」
まさか、そんな風に自分のことを色々考えてくれていたなんて、佐奈は思いもよらなかったから。
全然触れてこようとしない近頃の彼に不安を募らせていた自分が、佐奈は何だか恥ずかしくなった。
でも……。
「き、気持ちは…嬉しい、けど……。またそうやって、独りで考えてたんだ……?」
独りで抱え込まないで、と、いつもそう願っているのに。
つい零れた佐奈の呟きに、煉はごめん、と詫びながらも、だけどさ、と笑った。
『佐奈に触りたいけど我慢してる、なんて、やっぱりさすがに言えないよ』
こればっかりはちょっと…と告げられれば、なるほど、確かにそうかもしれない。
「ぅ………」
返す言葉に困って佐奈が唸ると、耳元で煉がくすくす笑った。
『でもそれも、もう終わりだよ』
結果は異常なし…なのだから。
煉にしてみれば、もう……。
『もう…今度こそ……』
電話越しに聞こえていた声は…けれど次の瞬間、かたん、と扉が開く音がして。
ずっと、電話で話しながらここまで帰ってきたらしい彼が、そこにいた。
「今度こそ、本気で遠慮、しないから」
検査結果の封筒も、それまで手にしていたスマホも何も床に放り出して、その手は固まって動けない佐奈へ。
「佐奈」
「ぇ…ぁっ」
気づいた時には、佐奈は煉の腕に攫われていた。
かしゃん、と佐奈の手からスマホが滑り落ちても、それが彼女の意識にのぼる余裕はなかった。
痛いほどに抱きしめられ、呼吸ごと奪われる。
「んっ…、ぁっ」
「佐奈……っ」
啄ばむようなキスは、すぐに貪るようなそれに変わり、束の間、煉が名残惜しげに唇を離せば、そこには淫靡に光る橋が二人の唇をつないでいて。
とうに一人で立っていられない佐奈の腰を抱き寄せて、煉は佐奈の頬に手を添えて覗き込んだ。