第20章 新しい関係
今日こそ、絶対聞き出してやる。
佐奈が息巻いて煉の帰りを待つ…までもなく、三十分ほどして。
「……え?」
今度はメールではなく、電話の着信だ。
ディスプレイには、『煉』の文字。
反射的に手に取れば、聞こえてくるのは確かに煉の声だった。
『佐奈?』
「うん。煉、今何処なの?」
『結果聞き終わって、今医療部出たとこ。何処も異常なしだって』
「そっか、良かった」
内心、ずっと心配だっただけに、その報告はひどく佐奈を安心させる。
別件で色々と不安はあるが、今は彼の身体が第一だ。
「本当に良かったね」
嬉しさに声が弾んでしまうのが伝わってしまったのか、向こう側で煉が小さく笑っている。
『ありがとう、佐奈。心配してくれてたんだよね』
「…う、ん。それは、当たり前…じゃない? 先生だし…それから、その……」
『彼女だし?』
「れ……っ」
そう言い出したのを始まりに、煉は口火を切るように話し出した。
『最近、俺の様子が変だって、思ってたよね』
「え…、と、それ、は……」
確かにそうだし、佐奈もちゃんと話そうと思ってもいた。
でも、それはこんな風に電話越しじゃなくて。
「それは、後で、家でちゃんと話そう?」
だから早く帰って来て、と佐奈は煉に強請るのに。
『ごめん。今話したいんだ。そうじゃないと…多分、家に着いてからだと…話せないと思うから』
「話せないって、何で?」
『佐奈の顔見たら、多分…そうなると思う』
「? 言ってる意味がわかんないよ」
『佐奈を見たら触りたくなるから』
「……え?」
唐突に、しかも電話越しという耳のすぐ向こうのそこで、甘く囁くように告げられて、佐奈は瞬間的に真っ赤になった。