第20章 新しい関係
ちゅ、と小さな音と共に、彼の温もりが離れていく。
それは煉と両想いになってからの、もう何度目かの、キス…だけど……。
佐奈は温もりが触れていたその場所…自分の額に指を這わせた。
それはほぼ毎晩、(煉のバイトのシフトや佐奈の残業などなどが無い限り)繰り返されている、煉が佐奈にする、一日の終わりのキスだ。
でも、と、佐奈はそのまま自分の部屋に入りながら、ぼんやりとした不安を感じていた。
(今日も…おでこだった……)
そういえば、昨日も…その前も……。
唇へのキスは、そういえば、最近なくなっていた。
おやすみのそれに限らず、別のタイミングでも……。
「って、べ、別に、良い…けど…っ」
誰にでもなく、何となく言い訳がましいことを口にしてしまう佐奈だったが、本音は『別に良い』なんて、大嘘だ。
だって最初の頃は、煉は普通に唇にキスしてきた。
それから…狼なせいかも、なんて笑いながら、ぺろぺろ顔を舐められたりもして。
くすぐったくて、何だかちょっと恥ずかしくて、でも、佐奈は嬉しくて、幸せだった。
ぎゅ、と抱きしめられる感触も、同時に伝わってくる温もりも、鼓動も、嬉しかったのに。
でも今は…唇にしても、一瞬、重ねるだけで、すぐに離れていく。
いわゆる恋人同士というものになって、まだ一ヶ月も経っていないのに。
休みの日にはデートをしたり、その辺は恋人らしい時間を過ごしている…とは思えるけれど。
何だか…何となく違和感というのか、不安というのか……。
佐奈はベッドに横たわりながら天井を見上げた。
「だって…前と全然違う……」
キスも…抱きしめられることも…だけれど、以前の煉は、それは嬉しそうに手をつないできたり、肩を抱いてきたり、それこそ、何かの拍子にちょっとでも触れ合おうとするかのような、そんな仕草が見えて、思わずこっちが照れてしまいそうなくらいだった。
でも今は、あまり触れてもこない。