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擬人カレシ~真紅の狼・初めての生徒編~

第20章 新しい関係


「受付番号12番の方ー」

この場合、タイミングが良いのか悪いのか、検査室から煉の番号を呼ぶ声が響いてきて。
煉は苦笑しながら、最後に…名残惜しそうに、さら、と佐奈の髪を撫でて、身を引きながら、声を返した。

「はい」

自分を呼ぶ声に首を巡らせて応じてから、煉は再び佐奈を見た。

「検査、時間掛かりそうだから。先に帰ってて」

帰りはちゃんと一人で帰れるからさ、と、煉はわざと茶化すような言い回しをする。

「れ……」
「じゃ、また後で。……俺の、佐奈」
「~~~~っ!」

途端に更に真っ赤になる佐奈を見ながら(といいつつ、煉も顔が熱かったりするが)、煉は自分の名を呼びかける佐奈に笑いかけた。
そうして、煉はそのまま身を翻す。

振り返らずにひらひら手を振るだけにしたのは、このまま佐奈を見ていたら、キリがないからだ。
キリがなくて…離れたくなくなってしまう。
自分を見て真っ赤になる佐奈なんて、初めてで。
自分を『男』として意識してくれているんだと、そう思える瞬間が、堪らなく嬉しくて。
あのままでいたら、場所なんて忘れてもっと触れたくなりそうだった。
でも…それはやっぱり、駄目だから。

佐奈は何より大切な女性だけれど、今はまだ先生でもあって、自分は生徒…でもあるから。
こういう場所(研究所の中だし)で、教師としての彼女を、あまり困らせるような真似は、多分…良くない。
本当はもっと困らせてもみたいのだけれど。

(どっちにしろ、ここでは…ね)

自分達には、時間がある。
先生と生徒として。
想いの通じた相手として……。
だから、焦らなくて良い。
束の間、そっと目を伏せて、煉は検査室の奥へと進んだ。
その背中が見えなくなるまで見送る佐奈の口元にも、幸せそうな微笑が浮かんでいる。

「早く…帰ってきてね」

零れた呟きには一生徒を気遣うだけのものではない、柔らかな甘さが滲んでいた……。

そして、それから数時間後。
帰宅した煉と、佐奈は初めての…恋人のキスをした。
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