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擬人カレシ~真紅の狼・初めての生徒編~

第19章 夏の思い出-2


最期になるかもしれない、それを遮るように、邪妖の爪が佐奈に降り注ぐ。

「今だ!」

それは、一瞬の出来事だった。
声と同時、邪妖の切っ先が佐奈に届く直前、煉は佐奈を庇うように横に飛び、そして……。

「ぎゃあああああああああああっ!」

続く断末魔と共に、辺りを覆いつくしていた瘴気が一斉に消えていく。
佐奈は咄嗟に起き上がろうとしたが。

「ごめん、今はちょっと…我慢して」
「え…煉?」

それは間違いなく、煉の声…その言葉。
ということは、今は狼じゃなく、擬人化しているということ…だろうか。
しかし、混乱する佐奈に覆い被さるように抱き締めているのは、確かに煉の腕だ。

「れ……」
「だから…今はこっち見ちゃ駄目だって。俺…裸だから」
「………っ!」

それでも見たいなら、まあ、良いけど?なんて継がれて、佐奈はぐりん、と地面に突っ伏した。
反射的に真っ赤になってしまった顔で、じっ…と、地面を凝視して。
それから、肩に触れる彼の手に、佐奈は自分の手を重ねた。

「煉……」
「うん」
「ありがと……」
「どういたしまして」

おどけた調子で言うところが煉らしくて、佐奈は泣きながら笑った。

「ごめん…ごめんね……」
「何で謝るの?佐奈のせいじゃないでしょ」
「けど……っ」

あの意味不明な男に持ちかけられたことを受け入れたのは……。
自分のせい…とまでは、佐奈は言えなくて。
すると、地に伏したままの佐奈の背中がふ、と不意に軽くなった。

「くぅ…ん」
「え……?」

驚く佐奈の前で再び狼と化した煉が、柔らかく目を細めていた。
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