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擬人カレシ~真紅の狼・初めての生徒編~

第19章 夏の思い出-2


頭が…ぼんやりする……。
佐奈はどこかに寄り掛かったまま、動けずにいた。
気絶していたわけじゃない、と思うけれど、でもぼんやりとして、上手く身体が動かない。

(私……)

一体、何がどうしたんだっけ……。
反芻する記憶は、少しだけ前へと遡った。
始まりは、乗り気のしなかった肝試し……。
ペアになったのは研究所の同僚で、割とよく話もする彼…タカヤだった。
そこそこ親しい相手とペアになったことに、少なからず、少なからずほっとしたものだ。
前のペアが戻ったら、次がスタート。
そういう予定だったはずが、いつまで待っても直前のペアが戻ってこない。
大した距離でもないのにとか、迷うはずもないのにとか。
そんなことを皆が口々に言い出す中で、途中で鉢合わせるかもしれないし、いつまでも待ってあまり遅くなるのも良くないからと次のペア、つまりは自分達はスタートした。
肝試しといっても、合宿責任者も許可した、擬人化にも安全・簡潔コース、というそれは、地図など不要な一本道で、夜という時間でさえなかったなら良い散歩道になりそうな、そんな細い林道だった。
それでも、暗闇を抜ける風に木々がざわざわと騒げば、やっぱりそれらしい雰囲気がある。
木々の音がざわめくたび、思わずびくついて、自然、歩みが遅くなってしまう自分を、彼は笑いながら手を引いてくれた。

「大丈夫だよ。すぐそこだから」

にこにこと微笑む様子は余裕に見えて。

「俺がついてるから」

その言葉に、ほっ、と身体の力が抜けたのは、けれど、僅かの間だった。
それから少し進んだところで、今までとは違う、何だか嫌な感じがし始めた。
何があるわけじゃない。
『怖い』と感じるものが何も見えないのに、鳥肌が立って、身体が震えてくる。
それは手を引いていた彼も同じらしかったが、それでも『大丈夫、大丈夫』とひきつりながら歩みを止めなかった。

「タカヤくん、何だかおかしいよ。一度戻った方が良いんじゃない?」

そう言って足を止めようとするも、彼は強がるように止まらなかった。
そうして…辿り着いたのは、社のある小さな広場……。
見ると、社のすぐ傍には、狐と兎が倒れていた。
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