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擬人カレシ~真紅の狼・初めての生徒編~

第19章 夏の思い出-2


やがて、前の組が戻れば、いよいよ佐奈(とタカヤ)の番、という時になったのだが。

「………?」
ふと、それまで感じなかった嫌な風の流れを感じて、錬は真っ暗な空を見上げた。

(何だ……?)

分からないが、とにかく、嫌な感じがする。
同様に、気配に鋭い擬人化達がそれぞれにいきりたたったり、怯えたりと様々な反応を示す中、煉は傍らの兎を尻目に、佐奈の元へ向かった。
何故かは分からない。
今は、ここから動かない方が良い。
よく分からないが、そう直感する。
それを伝えようと、順番を待つ列の前へと錬が飛び出した時には、既に佐奈がタカヤと共に出発してしまっていた。
聞けば、ほんの二、三分前に出たばかりだという。
まだ前の組が戻っていなかったが、後もつかえているし、いつまで待っていたら時間が掛かってしまうばかりだからと、後発を強行したらしい。
煉は頬を歪め、森の奥へと続く先へと神経を研ぎ澄ます。
まだ近くにいるなら感じられるだろう気配は、幸いまだ微かに察することができる。
煉はその気配が完全に遠のいてしまう前に、後を追うべく踏み出した、その時、煉と同じ狼の擬人化で、友人の一人でもある男が、長い漆黒の髪を揺らしながら唸った。

「気をつけろよ、嫌な感じだ」

まったく同じ感想を抱く発言に、煉はこく、と頷き、定めた目標に向かって駆け出した。
擬人化のままの足でも、まだ追いつける。
昼なお暗いだろう鬱蒼としたそこは、夜という今、深い闇に包まれている。
夜目を利かせ、佐奈の気配を辿る煉でも、纏わりつくような嫌な感覚に総毛立ちそうだ。
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