第4章 煉について
人をからかうようなことをするし、いじってくるし。
いつも笑みめいた表情を浮かべているせいで、掴みどころがなかったり、何処か本音を口にしてくれていないような…感情を表に出さないようにしているような、そんな風に見える…という点では、確かにミステリアスといえないこともない…かもしれないけれど。
そもそも擬人化に関する最初の性格分類入力は、擬人研究所の職員によって判別される。
その後、擬人化の先生となった人間…煉に関して言えば、佐奈が随時、擬人化の経過観察の中でその変化に見合った性格分類を変更入力することが可能なわけだが。
『その態度、可愛くない!』
『男の俺が先生に可愛いとか言われる方が問題じゃないですか?』
『そういう問題じゃなくて』
『嫌ですよ、俺は。大体、俺の方が人間年齢は先生より上ですし』
なんて、それだけじゃない諸々なやりとりの歴史(といってもまだ三ヶ月だが)を考えると、ミステリアスというより、可愛げがない奴…なんて思ってしまったりして。
でも。
(そんな性格分類はないしなぁ)
だから…というわけでもないが、佐奈はまだ一度も彼の性格分類の項目を変更したことはないが、あらかじめ定められた幾つかの種別に、それこそ様々な個性をもった擬人化を当てはめるというのは、なかなかに難しい。
煉について判別した担当者も入力する最初、もしかしたら色々悩んだのかもしれないなあ、なんて、煉のことを考えながら、佐奈は笑いながら頬杖をついた。
「あの性格を見て、とりあえず『ミステリアス』にした…のかなあ」
なるほど、そうかもしれないなあ、なんて、煉が聞いていたら即座に言い返してきそうなことを呟いて、佐奈は画面を閉じようとして……。
「?」
人の気配を感じて振り返ったそこに、一人の女性職員が佇んでいた。