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擬人カレシ~真紅の狼・初めての生徒編~

第18章 夏の思い出-1


そう思ったら…どうしても。何でもない振りで流せなくて。

「知ってたんだ」

思わず零れた煉の呟きに、佐奈は、瞬間、はっ、とする。

「え? あ……」

それから、何でもない素振りでカレーを口に運んでみたりしてみても、今更挙動不審は否めない。
その証拠に、ちろ、と佐奈が煉を見る、より早く。

「ぷっ……」

煉が吹き出していて、佐奈は、むう、と肩を怒らせた。

「そこ、笑うとこじゃないんだけど」
「そうかな。分かりやすくて良いと思うよ?」

言いながら煉は笑うのをやめず、佐奈は頬を膨らませたが、その胸中は、何故かとても暖かかった。

(煉……)

煉と共にある日々が満たされている自覚は、今までもあった。
でも、こんな風に強く感じたことや、それを深く考えたことは、なかったかもしれなくて。
それからも、まるで何のわだかまりもないかのようなひとときを過ごした佐奈は(煉も佐奈も努めてそう振舞っていたのだが)、
だからといって、いつまでのんびり休んでいるわけにもいかず、まだ残っている片付けの為にその場を立った。
と、煉も手伝おうとか、と佐奈に声を掛けようとする、その間隙、

「あ、ここにいたんだ」

知った気配が近づいてくることには気づいていた煉だったが、しかし、その気配が佐奈を目的として駆け寄ってくることまでは予知できるはずもなく。
佐奈の後方で、ふ、と微かに目を細める煉をよそに、佐奈の目前にやってきた気配の主…テントの設営の時にも佐奈の傍にいた男…タカヤは屈託なく佐奈に笑いかける。
そうしてから、遅れて気づいたかのように、タカヤは佐奈の後方へも視線を流し、にこり、と笑みを作った。

「君は、佐奈の生徒さんかな」

好意的に微笑みつつも、実のところ彼が興味の欠片も示していないことを、煉はぴりぴりと肌で感じていた。
この男が用があるのは佐奈に対してだけらしい。
ただ、そこに彼女の生徒がオマケについていたから、声を掛けてみた。
テント設営の時から、煉の目に、このタカヤなる男は何となく引っ掛かっていて、気に入らなかった。
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