第18章 夏の思い出-1
なるほど、と佐奈が頷くと、
「実はあいつらに何度かキャンプに誘われたことあるんだけどさ」
「うん」
「一度行ったら、ハードなんてもんじゃなくて」
二度と一緒に行くもんかと思ったね、と肩を竦める彼は見るからに細身だ。
対して、彼が指差す面々は見事にがっしりとした体躯の持ち主で、その対比はいっそ鮮やかなほどだった。
なるほど、これでは、彼らと同じ環境で山を登ったり、キャンプをしたりは辛いだろう。
思わず笑ってしまった佐奈を、タカヤはやんわりねめつけた。
「こら、笑ったな」
「ごめんごめん」
言いながら、また少し笑うと、彼も一緒に笑い出す。
こうして誰かと話していると、佐奈は少しだけ気が紛れる…気がした。
このままでは何の解決にもならないと、分かってはいても……。
それからしばらくして、テントの設営を終え、短い休憩と自由行動を挟むと、今度はすぐに夕食の支度が始まる。
ここは無論、擬人研究所の面々が中心となって働くが、当然、擬人化達もあれこれと手伝いに駆り出される。
そうして炊き上がったご飯は、幾つかに分かれて担当したチームによって出来が様々で、ハズレを引いたらしい面々は渋い顔をしながらも、今日の食料はもうないと聞くや、芯が残っていたり、あるいはおかゆもどきな緩いそれを無理矢理飲み込んで、周囲の笑いを誘っていた(当人達にすれば笑い事ではないだろうが)。
佐奈はといえば、ちょっと柔らか気味ながらも、そこまでハズレでもなさそうなご飯に、自分も参加して作ったカレーをかけて座れる場所を探した…と、
「佐奈、こっち」
灯りをつけていても、段々と薄暗くなり、視界が利かなくなっていく中、煉がこっちだよ、と佐奈を手招いているのが見える。
それだけで何処かほっとしたような、嬉しいような気持ちになってしまう自分を自覚させられる一方で、テント設営の時の胸の痛みを諸共に押さえ込むようにして、佐奈は煉の傍に腰を下ろした。