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擬人カレシ~真紅の狼・初めての生徒編~

第18章 夏の思い出-1


8月も半ばを過ぎ、茹だるような暑さの季節……。

佐奈と煉を含む数十組の教師と擬人化生徒達は、街の暑さと喧騒を離れ、とある鄙びた山里を訪れていた。
目の前には浜辺…そして海。
振り返れば豊かな山が稜線を連ねるそこは絶好の避暑地だ。
聞けば全ての教師と擬人化がやって来ているわけではなく(それではあまりに多すぎるので)、希望を募った上でのいわゆる抽選だったりする。
もちろん、せっかくだからと応募した佐奈は見事当選、現在に至る。

「気持ちいーねー」

宝くじやらの抽選ものに縁のない佐奈は、今回の当選にほくほくだ。
んー、と海風を受けて気持ちよく伸びをする彼女に、煉は楽しそうに目を細めた。
街の暑さに耐えかねていたところへの、この遠出。
しかも日程は二週間という長さで、滞在費等は全て擬人研究所持ちというから、なかなか太っ腹な企画だ。
何より、佐奈といつもとは違う二週間を過ごせるというのは、煉には最大の楽しみでもある。
煉は佐奈と同じように伸びをした。

「せっかく佐奈が一生分の運を使って当ててくれたんだから、楽しまないとね」
「はあ?ちょっと!不吉なこと言わないでくれる?それじゃこの先ずっと運が悪くなるみたいじゃないのー!」

むきーっ!と噛みつかんばかりの勢いで目くじらを立てる佐奈は、自分のくじ運のなさにどうやら自覚があるらしい。
ここで笑ったら更に火に油…と分かっていても堪えきれない笑いを忍ばせて、煉はそんなに気にしなくても、と佐奈の頭をぽんぽん、と撫でた、のだが。
ぺしん、と跳ね除ける佐奈は明らかに拗ね顔だ。

「笑いながら慰められたって嬉しくないんだけどっ」

まったくもう!と、佐奈は足元に置いた荷物を手に取る。
そのままぐりん、と今夜の宿舎に向かおうとする彼女を追いかけ様、煉はその手からする、と荷物を奪い取った。

「?」
「俺が持つよ」

舗装されていない道では、カートなんてほとんど役に立たない。
佐奈が両手で持っていたそれを(最小限にしたとはいえ何しろ二週間分だ)、煉は片手で軽々と持ち、空いている反対側には自分の分を持って、これまた軽快に歩き出した。
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