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擬人カレシ~真紅の狼・初めての生徒編~

第4章 煉について


少し時間を遡って、煉がまだカフェでアルバイトに勤しんでいた頃、佐奈はいつものように研究所のデスクに張り付いていた。

煉の先生である以外、基本的に彼女の生活に変化はない。
あるとすれば、生徒と共同生活をする為、手狭になるだろうワンルームから今のマンションに引っ越したことくらいだろう。
研究所での仕事にも、特段の変化はない。
これまでそうだったように、擬人化に関するデータ管理などなど、事務作業が主な職務だ。

「んーーーっ」

データの入力やメンテナンス、ほぼ画面と睨めっこな日常に、もう慣れたとはいえ、佐奈は首を左右に動かした。
ぱきぱき、とちょっと嫌な音がしても気にしない。
ブラインドの隙間から覗く夕焼けに目を細めながら、佐奈は煉の先生になって以来、日常の事務+αとなった作業に着手した。

「さて、と」

んー、と斜め上を見上げて日々を反芻する、それは煉の先生となった佐奈の、要は擬人化の報告業務…というもので。
内容は特に定められておらず、擬人化に日々接して感じること、その個体についての感想などなど、記述の仕方は至ってフリーランスだ。

もちろん、問題事項があればすぐさま報告するという責務も有している一面もあるから、フリーランスといえどもこれは重要な作業である。
佐奈は慣れた手つきで、パチパチパチ、と報告入力を進めた。
といっても、慣れてきたのはつい最近のことで、既に擬人化の先生経験のある同僚や先輩達に相談しつつ、ようやく慣れてきたこの頃だったりする。

(初めは何を入力したら良いかも分かんなかったもんね)

でも今は、どうにかそれにも馴染んできた。
担当する擬人化の報告画面には、対象の基本情報も表示されている。
かつて、予想外にも煉との共同生活を始めることとなった佐奈は、当初この画面を何度も何度も食い入るように見たものだ。
画面の情報だけを見たところで、あまり意味はないと分かってはいても、あの頃は不安で堪らなくて。

「はっきり言って、暗唱できるくらいだもんね」

そんなことを呟きながら報告入力していた佐奈は、いつもよりつい力が入ってしまったものか、気づいた時には自分だけしかいなくなっていて、佐奈は一人、そこでくす、と小さく笑った。

「あんまり遅くなると、煉が文句言いそう」
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