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擬人カレシ~真紅の狼・初めての生徒編~

第17章 心の距離とか、温度…とか


だから、そこに佐奈がいなくても、煉は佐奈の気配の残滓をちゃんと感じることができるのだ。

(って、前にこれ話したら……)

思い出して、煉は苦笑した。

(そういえばちょっと引いてたな、佐奈……)

その人の匂いや気配の残滓というものを、擬人化達は、もちろん個体差はあるものの、それぞれに嗅ぎ分ける能力を持っているのだ、と告げて。
それから、

『だから佐奈が留守の時でも、俺は佐奈を感じることができるんだよ』

煉がそんな風に、ちょっと(かなり)わざと言った途端、始めはただ驚いていた佐奈が、いきなり真っ赤になって。
その様には今度は煉が驚いたものだったが、同時に。

(可愛かったな)

本当なら、あのまま思いきり抱き寄せてしまいたいほどに……。
でも堪えたのは、現在進行形で片想い状態だからだ。
このまま、何でもない素振りでいるのも、かなり限界に近い。
かといって、今の関係を壊すのが怖くないといえば、それも大嘘だ。
でも……。

(この先もこのままなのは、もう無理だ)

離れているならともかく、一緒に暮らしていて、いつでも傍に居て。
それなのにこのままなんて、もうできない。
打ち解けて、良い関係を築けている今を壊してしまうかもしれないと思うと、踏み出すのは確かに怖い。
でも怖がっていたところで、先はないのだ。
それに、このまま自分を押し殺すことに成功したとしても…いつかは佐奈にも好きな相手が…恋人が現れるかもしれない(今現在はいないように見えるが)。
だから怖くても、壊してしまうかもしれなくても…自分は選ばなくてはならない。
そして一度…誕生日のあの夜、自分はそれを試みようとして、失敗した。
もっともあれは、告白する以前の問題だったが……。

(この次は……)

今度こそは、と煉は拳を握る。
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