第11章 気掛かり
「あらぁ。随分冷てえんだな。詰まんねえ事」
肩を竦めた飛段だが、特に異議のある様子はない。
「まぁなあ。ここじゃビンゴブッカーは間に合ってっかんな」
「依頼主の真意の計れない首は厄介だ」
角都が帳簿や算盤をまとめて立ち上がった。
「こうなる前にもっとあれで稼いでおくべきだった」
「いやぁ、割りに稼がせて貰ったろ?」
「幾ら稼いでも稼ぎ過ぎという事はない」
「…墓に入っちゃ金は使えねぇんだぜ、角都」
「地獄の沙汰も金次第という玉言を知らんのか」
「おいおい、地獄で無駄遣いしたくて今頑張っちゃってんのか?くっだらねぇなぁ」
「何とでも言え」
「牡蠣殻の経緯を辿れば、磯から砂、音を経て次は草。ここにも顔を出している。誤解や猜疑心を煽るには十分な程に入り組み過ぎた。胡乱だ。関わっているとすれば、サソリはどういう気でいるのか。…鬼鮫はどうするつもりなのか」
イタチが呟く。
幽かに物憂げな様子からイタチはイタチで抱え込んだものがあるのだろう事が窺えた。
音にはイタチの弟、サスケがいる。
「ふうん」
飛段はフと両の手を見下ろして不思議そうな顔をした。以前牡蠣殻に手当てされた腕だ。
ちょっと考え込んでから、飛段はまた卓に足を載せて広間の天井を見上げた。
「ま、しょうがねぇのかな」