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連れ立って歩く 其の四 和合編 ー干柿鬼鮫ー

第11章 気掛かり



「ん?いやいやいや、こっち見んなよ。俺に聞いたって知らねぇよ。そもそもどっちだっていんだからよ。無駄無駄無駄無駄ァァァ。あー、USJ行きてぇなあー。ジョジョとか銀魂とかよー」

「行くか、飛段?」

「いやぁ、行かねえなぁ。オメェと俺がUSJ行ってどうすんだよ、イタチ」

「楽しむに決まっている」

「……お前、俺と行って楽しくなりそうとか思うのかよ?大丈夫か?」

「飛段とデートか。ゾッとしねえな、うん」

「うるせえぞデイダラ。さっきから臭えんだよ、何やってんだ、オメェは」

独特の芳香を放っているデイダラの手元を胡散臭げに眺め、飛段が顔をしかめた。

「ばぁちゃんみてぇな匂いがすんだけど、何なんだソレ」

「白檀だろう」

湯気の立つ湯呑みに口をつけて、イタチがデイダラの手元へ目線を流した。

「結構な代物だ。よく手に入れたな」

「高かったんじゃないのか?」

すかさず角都が値踏みするように木塊を凝視したので、デイダラは小刀を操る手を止めて傍らの白布で木塊を覆った。

「何だっていいだろ。ほっとけよ、うん」

「懲りない人ですねぇ」

イタチの隣の椅子が引かれて、鬼鮫が卓についた。

「本当に作り始めたんですね。あの人の為なら色々と無駄なように思いますが」

「うるせえな。オメェにゃ関係ねえ」

足組みして卓に頬杖をついた鬼鮫にデイダラは鋭い一瞥をくれて、片付けを始めた。

「関係ないねぇ…。まあ関係ないと言えば関係ないんでしょうが」

隠されても尚香る木塊に、鬼鮫は目を細めた。

「伽羅ですか。何処で手に入れたんです?」

鬼鮫が言うと、イタチが微かに頷いた。

「金を積んだところで容易に手に入るものではない。いい伝手を見付けたな」

デイダラはいよいよ顔をしかめて布に包んだ木塊を小脇に抱えた。

「うるせえな、人ン事ばっか気にしてんじゃねぇぞ、この暇人共が」

「暇じゃありませんよ。私とイタチさんはこれから任務で出掛けます」

「へえ。じゃさっさと行けよ。何寛いでんだ、うん?」

「今回は少し長くなりそうでしてね。気掛かりを片付けてから行きたいんですよ」

広間を見回して鬼鮫は足を組み替えた。

「サソリは何処です?」

「お前がサソリに何の用だ」

角都が帳簿から目を上げた。鬼鮫は指先で卓をトンと叩いて薄笑いした。

「気掛かりと言ったでしょう」
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