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連れ立って歩く 其の四 和合編 ー干柿鬼鮫ー

第8章 我儘



「兎に角」

シカマルが話を〆た。

「そういう訳ですんで、エビス先生」

「…粗相するんじゃないぞ、ナルト」

ジロリとナルトをひと睨みし、エビスは振り返り振り返り立ち去った。

「感じ悪ィ!いっつもアレだ。何なんだよ、アイツ」

「何かしたんじゃねえのか、オメェが」

「してねえってばよ!…?してねえよな?」

首を傾げるナルトを他所に、シカマルは眉をひそめて執務室の様子に耳を傾けた。

エビスが現れるまでに密み漏れたやり取りは、薬事場にも無関係とはいえない内容だ。あの勤勉な磯人達の暮らしに、草が現実的な影を落とし始めるかも知れない。

加えて伊草の身上に、牡蠣殻とビンゴブックの話。

「…どうなってんだ、一体…」

呟いたシカマルにナルトが頷く。

「な。お茶が冷めるってばよ」

「……オメェは黙ってろ」

「何で?お前が喋んなら俺だって喋るぞ」

「黙ってろ」

「い·や·だ」

「イヤだじゃねんだよ、黙れ」

「お前が黙ったら俺も黙る。お前が黙んねえなら俺も黙んねえ」

「何なんだよ、兎に角黙れって」

「俺に諦めさせる事を諦めろ!」

「うるせえ!そりゃここで使っちゃ駄目なヤツだろが!有り難味ダダ下がりだぞ!?」

「有り難味って何だよ。何か有り難かったか、今の?」

「空気読め、ボンクラ」

「…いっつも思うんだけどよ、空気ってどう読むの?何処に何が書いてある訳?さっぱり読めないんだけど、皆どうやってんの?」

「…書いてあんのが見えたら読めんのかよ、オメェは」

「馬鹿にすんなってばよ!読めんに決まってんだろ!?何なら目ぇ瞑ってても読める!ような気がしたけど、いや、言い過ぎた!見えなきゃ読めない!見えたら読める!と、思う!…よな?」

「…フランス語だぞ?」

「!?フ、フランス語!?マジで!?空気ってばフランス人だったのかよ!」

「あとサンスクリット語な」

「サ、サンタ?クリスマス?な、何?12月24日?」

「たまにタガログ語とかスワヒリ語」

「カタログ!?お座り!?何で!?」

「読めんのかよ」

「ぜ…全然読める気がしねえ。空気やり過ぎだってばよ!」

「だから黙ってろって…ぁいだだッ」

「何が黙ってろじゃ。デカい声出して立ち聞きしおってバカタレが!あ、コラ逃げるな、ナルトッ」

「うぎッ、いった、いた!放せってばよ、エロ仙人!」
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