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【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第9章 ロザリオの祈り(ゾロ+α)






四皇シャンクスは言った。

人を殺すのは簡単だ。
難しいのは、命の重さを知ること・・・他人はもちろん、自分自身の命の重さも。

クレイオの母は、ミホークと出会ったことで命の重さを知ることができたのだろう。
愛情を知らない孤児として育ち、成長してからは身も心も“神のもの”となった母に、自分自身の価値が島の人間と同等であると教えたのは、無慈悲な海賊だった。

そして今。

「私はゾロ、貴方と出会えたことに感謝したい」

クレイオは一人の海賊との出会いを、神に感謝していた。


「コンパニオンプランツのように、自分を強くしてくれる出会いがある。貴方との出会いはまさにそれだった」


異質な者同士が出会い、寄り添うことで互いに強くなる。


「ミホークの血とシャンクスの剣術があれば、人の命を奪うのは簡単。でも、人を殺さないよう、人が殺されないようにするのは遥かに難しいことだと教えてくれたのは、貴方だった」


誰かを守ることも、殺したいほどの憎しみを抑えることも難しい。
だけど人の命の重さを知った私は、安易な道よりも険しい道を選ぶことができると思う。


「ありがとう、ロロノア・ゾロ」



包帯が巻かれたゾロの腕にキスを落とす。
早く良くなってまた剣が握れますように、と祈りながら。

そして、顔を上げて微笑んだ。


「今度こそ、私は私の道を歩こうと思う」


静かな部屋には、二人の息遣いしか聞こえない。
ロウソクの揺れる明かりが、クレイオの顔をいつもより赤く照らしていた。


「明日、この島を出ていくと決めた」


その言葉にゾロの瞳が大きく広がる。
それでも何も言わずに黙っている海賊に、クレイオは静かに胸の前で十字を切った。

それは彼女が覚悟を決めた証。







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