第9章 ロザリオの祈り(ゾロ+α)
“時が流れりゃ、人も、人との関係も変わるのかもしれねェな”
ああ、本当に───
「バカ野郎・・・お前らしくもない言葉を吐くのはよせ。寒気がする」
「・・・む」
シャンクスはウィスキーを注いでもらったグラスを持ち上げ、ミホークに笑みを見せた。
「言っただろ、おれは嬉しかったんだ。船長によって幕を開けたこの時代で、お前が惚れた女とのガキを作ったことがよ」
「・・・・・・・・・・・・」
「残念ながら、それはおれには“出来ない”ことだからな」
ニッと笑うシャンクスの顔は、どこか寂しそうだった。
その表情に、ミホークは何年か前に酔っぱらったシャンクスから聞いた話を思い出す。
「お前・・・以前話していた、永遠の命を持つという女のことをまだ・・・」
「おいおい。“まだ”とはなんだ、“まだ”とは」
あの時の話では、“オペオペの実”の能力者に不老手術を施された女は、妊娠ができない身体になるとか・・・
しかも、シャンクスはロジャー海賊団の見習いだった頃からその女に惚れていると言っていた。
「“終わり”はねェんだ。あいつの命がそうであるように、おれのあいつへの想いもな」
だから、おれにできることは世界から取り残されていくばかりのあいつが退屈しないように、面白い時代を繋いでいくことだけ。
さて、麦わら帽子を託したルフィは、ゾロ達とどんな時代を作っていくのか。
楽しみだ。
「ほら、辛気臭ェ話はここまでにしよーぜ! 飲み直すぞ!!」
何十回目かの乾杯をしようと、シャンクスがグラスを持ち上げた、その時だった。
「ちょっと、二人ともいつまで飲んでいるの?」
ミホークにとっては愛娘、シャンクスにとっては愛弟子の呆れ声が後ろから飛んでくる。