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【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第9章 ロザリオの祈り(ゾロ+α)




太陽は西の空に沈み、広がる群青色の中に上弦の月が浮かんでいた。
あと10日もすれば満月か・・・

クレイオに妊娠を告げられたあの日から、ミホークは島に行っていなかった。
一人で出産する彼女が心配だったし、顔を見たかったが、自分が行ったところでできることは何もない。
むしろ、クレイオの立場を悪くさせてしまうかもしれない。

「すまない、シャンクス」

最上大業物『夜』を傍らに置き、正面に立つ“赤髪”を見つめる“鷹の目”。


「今宵は不浄の血で月を穢したくはない」


清らかな月光を何度も、真っ赤な血と欲望で穢してきた。
だが、今日は・・・今日だけは・・・


「・・・いつものお前らしくねェな、何があった?」


シャンクスはミホークのただならぬ空気を悟り、それまで垂れ流していた殺気を止める。
代わりに木の根に座ったままのミホークの目線の高さに合わせて、身体を屈めた。

「・・・・・・・・・・・・」

「別にお前を責めちゃいねェよ。ただ、おれとの約束を破るくらいの事情ってのが何か、気になるだけだ」

いつもは殺す気満々といった様子で勝負を吹っ掛けてくる男の意外な言葉に、ミホークは少しだけ瞳を丸くした。
相手は若いながらも剣士、このまま何も言わずに約束を反故にするのは非礼というものだろう。

「子どもが生まれた」

「ん? ガキ?」

「おれの子だ」

ミホークの言葉に、シャンクスは目をパチクリとさせた。
そして一呼吸置いてから、ええええ!!!っと素っ頓狂な声を上げる。

「お前、女がいたのか?!」
「・・・どういう意味だ」
「おれァ、てっきり、お前みてェな陰気なヤツの相手になってくれる奇特な女なんているものかと」
「・・・殺すぞ」

シャンクスは心底驚いた様子だったが、すぐに満面の笑みを浮かべた。

「お前、少しは嬉しそうな顔をしろよ!! こうしちゃいられねェ、ちょっと待ってろ!!」

そう言って、シャンクスはポケットの中から子電伝虫を取り出すと、近くの町の酒場で待たせているベックマン達に何かを指示し始めた。







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