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【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第9章 ロザリオの祈り(ゾロ+α)




グランドラインに浮かぶ夏島にいたミホークのもとに、クレイオから一通の手紙が届いたのは、それから8カ月後のこと。
それには女の子が生まれたこと、母子ともに健康であることのみ、簡潔に書かれていた。

僅かに潮の香りがするその紙切れを何時間、見つめていたことだろう。
華奢な筆跡を指でなぞり、ペンを走らせていた人物のことを想う。

手紙を受け取った時は確かに真上に太陽があったのに、気づけば辺りは夕日で真っ赤に染まっていた。
すると、馴染みのある声が正面から飛んでくる。

「よう、ミホーク。久しぶりだな」

大きな木の根に腰かけていたミホークは、その明るい声に顔を上げた。
途端に感じる、刺々しい覇気。

「・・・“赤髪”か」

太陽を思わせる赤い髪に麦わら帽子を被った男は、白い歯を見せながら手を振っていた。
しかし、漂わせる覇気はかなり好戦的。
シャンクスという名の海賊は、ミホークと同じ剣士であり、同世代では最大のライバルだった。


「今日こそどっちが強いか、白黒はっきりさせようぜ」


そう言って、腰に下げた刀を鳴らすシャンクス。
“海賊王”ゴール・D・ロジャーの死後、彼とは何度も決闘をしてきたが、いまだ決着はついていない。

能天気なシャンクスと陰気なミホークは元来、相容れない性格をしていた。
だが、剣の腕だけは互いに認め合っている。

「わざわざ来てもらったところ悪いが・・・」

ミホークは手紙をそっと畳んで懐にしまうと、シャンクスから目を逸らした。

「今日はお前と闘うつもりはない」

「そりゃないぜ。お前、ここまで来るのも苦労したんだぞ?!」

ミホークがいるというからサウスブルーからやってきたのに・・・と、シャンクスは納得いかなそうに顔をしかめた。
いくら赤髪海賊団が優秀な海賊の集まりだからといって、グランドラインを渡るのは簡単ではない。

「理由はなんだ? 怖じ気づいたわけじゃねェだろ」

当然のことながら、シャンクスはこのまま黙って帰ってはくれなさそうだ。
ミホークだってクレイオの手紙が届くまでは、シャンクスと決着をつけるのを楽しみにしていなかったわけではない。








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