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【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第9章 ロザリオの祈り(ゾロ+α)




「死を恐れぬのは、勇気とは言わん。愚かな者のすることだ」

「その愚か者の命一つで守れるものがあるのなら、私は喜んで差し出しましょう」

修道女はミホークの背後に連なっている死体に目を向けた。
彼らの魂が迷うことなく天に召されるよう、小さな声で祈りの言葉を口にしている。

こんな女など、簡単に殺せる。

なのにそれが怖いと思ってしまうのは何故だ。

「・・・どうしたのです?」

ミホークの心情を見透かしたような碧眼。

「ここにいるのは、神の御声を聞いたから来ただけの非力な女。貴方ほどの剣士ならば命を奪うことぐらい容易いはずでしょう」

「・・・・・・・・・・・・」

彼女は柔らかい微笑みを崩さないまま、一歩、ミホークのそばに歩み寄った。


「私は祈りましょう。“貴方”にも神のご加護がありますように、と」


修道女はこれから起ころうとしていることを受け入れていた。
人間なのだから、恐怖だってあるはず。
それでも彼女は、ミホークも、ミホークを怒らせた商人団の青年達も全て許していた。

大剣豪をも圧倒する覇気の修道女が見せる慈愛。
それは月光のように清らかで、且つ人を惑わせた。

どのくらいそうやって対峙していただろう。


「・・・せっかくの興が削がれた」


ミホークは修道女を斬ることなく、剣を鞘にしまう。

別に彼女の覇気に屈服したからではない。
ただ、ここで彼女を斬ったら、一生消えない汚点が剣に残ってしまうような気がした。


満月は人を狂わせる。

そんな夜、二人は出会った。









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