第9章 ロザリオの祈り(ゾロ+α)
ゴールド・ロジャーの処刑によって、幕を開けた大海賊時代。
“白ひげ”エドワード・ニューゲートを筆頭に、海で名を上げた海賊は数知れず。
ジュラキュール・ミホークもまた、その一人だった。
ロジャーの斬首をその目で見届けた19歳の若き剣士が、新たな時代の中で求めたのは圧倒的な強さ。
海賊として海を渡り、対峙する者がいれば斬り捨てる。
剣士はいつしか剣豪と呼ばれるようになり、それからまた時がたてば、世の剣豪達が彼に挑戦するようになっていた。
だが、どれほど名声を浴びようと、彼は“独り”を貫いた。
他の海賊のように仲間を作らず、人との関わりを避けるように島から島へと流れていく。
挑む者あれば容赦なく斬り捨てる。
結果、その悪名は世界に轟くことになり、ロジャーの死から一年経つ頃には、彼の首を狙うのは海軍や賞金稼ぎ、腕に自信のある剣士だけではなくなっていた。
だがそれでも、彼に“面白い”と思わせるほどの戦いができる敵はほとんどなかった。
退屈が彼を支配するようになっていた、ある日。
グランドラインの忘れ去られた島で出会った一人の修道女が、彼の運命を変える。