第9章 ロザリオの祈り(ゾロ+α)
───シャンクスが来たら・・・出ていけ・・・?
「そ、それは・・・どうして・・・?」
「それが疑問なのはおれの方だ。お前は何故、いつまでもこの城にいる?」
ゾロは修行のため。
ペローナは他に行く当てがないため。
でも、クレイオは違う。
「お前が生きる場所はここではない」
それは初めてミホークに拒絶された瞬間だった。
母が殺された日、炎の中から現れた時も、
シャンクスに連れられて15年ぶりに再会した時も、
ミホークはクレイオを受け入れこそしなかったものの、追い返すこともしなかった。
そばに居させてくれたのに・・・
今は強制的に追い出そうとしている。
「ちょっと待て、ミホーク!! なんでいきなりクレイオを追い出すんだよ!!」
ペローナが怒鳴り声を上げたが、ミホークはそちらを見ようともせずにクレイオに目を向けていた。
ゾロは相変わらず口をつぐんだまま成り行きを見守っている。
クレイオは唇をギュッと噛むと、震える声で頷いた。
「分かった・・・シャンクスが来たらここから出ていく・・・」
そうしなければ、ミホークは私に言葉以上の凶器を向けるでしょう。
貴方は悪魔なのだから。
「確かにこの島も・・・この城も・・・私の生きる場所ではない」
この怨念渦巻く古城は、貴方が心休まる唯一の場所。
私の存在はきっと、邪魔なだけなのだろう。
「でも、私がこの島に来たのには、どうしても貴方に聞きたいことがあったから」
「・・・それは何だ」
「貴方が私の母親を愛していたかどうか───」
グランドラインに浮かぶ、孤島。
そこに住んでいた修道女を、貴方は愛していたのだろうか。
「私を娘として認めてくれなくてもいい。愛情もいらない。でも・・・魔女として火あぶりになった母を、貴方が愛していてくれたのかどうかだけ、私は知りたかった」
ずっと知りたかったくせに、本人を目の前にすると知るのが怖くなった。
でも貴方に拒絶された今、どうかそれだけは教えて欲しい。