第9章 ロザリオの祈り(ゾロ+α)
「私が変わったのだとしたら、それはペローナとゾロのおかげね」
もし、ゾロとペローナがいなくて、ミホークだけだったら・・・
すぐに耐えきれなくなって、この島を出ていたかもしれない。
二人がミホークと一緒に住んでいたことは、シャンクスにとっても予想外の事だったようだが、ゾロとペローナがいると毎日が騒がしくて、この息が詰まりそうな城でも楽しくいられる。
「何言ってんだ、クレイオ。おれはともかく、コイツがいったい何の役に立ってるっつーんだよ」
それまで静かに干した鹿肉を肴に酒を飲んでいたゾロが、眉間にシワを寄せながらペローナを指さした。
「ただ飯食って寝てるだけじゃねェか」
「ずいぶんな言い草じゃねェか、ロロノア!! 誰が毎日てめェの包帯巻いてやっていると思ってんだ!!」
「別に頼んじゃいねェ」
「なんだと?! それが命の恩人に対する態度か!!」
ギャアギャアと喚くペローナに、鼻であしらうゾロ。
そんな二人の子どもじみた喧嘩をきっと、ミホークも無表情ながら楽しんでいるのかもしれない。
騒がしいけれど、楽しい。
本当に・・・ミホークのことを抜きにして、ここに来られて良かったと心から思う。
「あ、クレイオ!! お前まで何を笑ってるんだ?」
「ごめん、ペローナ。なんでもない、ただ───」
友達っていいものね。
そう言おうとした時だった。
「・・・・・・・・・・・・」
ゾロがピクリと何かに反応し、食堂の窓から外に目をやる。
「・・・ゾロ?」
暗闇の向こうに何かあるのか。
ゾロは酒の入ったグラスをテーブルに置き、眉間にシワを寄せながら神経を集中させていた。
脇に置いてある刀に手をかけないところを見るに、危険が迫っているわけではないようだが・・・
「どうしたの?」
クレイオが聞くと、ゾロはゆっくりと振り返って口を開いた。
「───どうやら帰ってきたみたいだぞ」
1カ月以上も留守にしていた、城の主が。
だが・・・何だ、この異様な殺気は・・・?
「お前ら、そこから動くんじゃねェ」
長い食卓に座る三人。
ゾロはさっと視線を走らせ、クレイオとペローナの位置を確認した。
この距離ならば、“何か”あっても二人を守れると確認するために───