第9章 ロザリオの祈り(ゾロ+α)
悪魔を否定する世界なら。
海賊を否定する世界なら。
そんなもの、ぶった斬ってしまえばいい。
「クレイオも自分を恥じるんじゃねェ」
聖人として生まれなかったからなんだ。
母親が望んだ生き方をできないからなんだ。
親父がジュラキュール・ミホークだからなんだ。
「お前はお前だ、クレイオ」
おれがお前の全てを受け入れてやる。
骨も残さずに喰って、おれの一部にしてやるよ。
「そしてそのお前を、おれは煩悩を制御できねェほど愛してる」
“人を赦すことこそが愛なのですよ”
「ゾロ・・・」
母の言葉の意味が今、本当の意味で分かったような気がする。
人を赦す、ということは───
「その人を受け入れるということ・・・その人の罪も・・・野心も・・・傲慢さえも・・・」
ああ、ゾロ。
私は貴方のことを、自分の欲求をお構いなしにぶつけてくる最低な男だと思う。
でも・・・
「貴方は私を受け入れてくれる・・・」
貴方以上の男はいないとも、思ってしまう。
貴方は、私の弱さや罪、醜さを全て受け入れる強さがある。
それが“クレイオだ”と言って、愛してくれる。
「だから愛されてみようと思う・・・本能のままに・・・アホみたいに、ね」
キスを受けながら、ゾロの背中に回していた腕に力を込める。
もっと奥へ、もっと深く。
貴方の命が私の命に届くように。
「ああッ・・・」
容赦なくクレイオの身体を突くゾロの肉棒。
すでに互いの口から言葉が失われていた。
代わりに響くのは、濁った母音のみの嬌声。
「イッ・・・」
絶頂の時は、ほぼ同時に訪れた。
濃厚な熱がクレイオの胎内に吐き出され、猛獣の飢渇は満たされる。
「ゾロ・・・ゾロ・・・」
愛に飢えた子どもが呟くのは、自分を貪り食う猛獣の名。
そんなクレイオの身体の中に自分の熱が広がっていくのを直に感じながら、ゾロは心から愛おしそうに何度も口付けていた。