第9章 ロザリオの祈り(ゾロ+α)
「ハッ・・・ア・・・」
このまま射精してしまいたい。
だがその瞬間、ゾロの脳裏にクレイオの言葉がよぎった。
“愛情などなくても、人は欲望のままにセックスをすることができる。その欲望の果てに、望まれぬ赤ん坊が生まれようとも”
彼女がゾロをずっと拒んでいた理由。
それは、自分が望まれぬ赤ん坊かもしれないという恐怖だった。
母親から修道女という道だけでなく、命そのものを奪ってしまった原因が自分の誕生かもしれない、と。
「クレイオ・・・ッ・・・!」
ゾロは腰を激しく動かしながらクレイオの耳元で叫んだ。
腹の底から絞り出すような声は、クレイオの鼓膜を直接震わせる。
「“あの時”も言ったが、おれは・・・ッ・・・自分の欲望の後始末とケジメは必ずつける」
意識が吹き飛びそうな程の快感に全身を震わせながら、口にするのは腹に決めた一つの覚悟。
それすなわち───
「愛してる」
その瞬間、朦朧としていたクレイオの目が大きく開いた。
「こうしてお前を抱いたことで・・・クッ・・・お前を傷つけちまっていたら・・・その“傷”が癒えるまでおれが舐めてやる」
太ももの怪我のように。
おれが与えた傷は、おれが必ず癒す。
「そんでよ・・・何かの奇跡が起こってお前の腹の中に命を残せたら・・・」
ミホークがクレイオの母親に残したように。
おれが与えた命は、おれが必ず・・・
「世界一の剣豪───そして、“海賊王”のクルーのガキだという誇りを、そいつに持たせてやる」
おれは必ず世界一の剣豪になる。
そして、ルフィに海賊王の称号を手に入れさせてみせる。
だからクレイオ、お前は・・・
「お前はただ、アホみてェにおれに愛されてりゃいいんだ」
ゾロは優しく微笑むと、互いの唾液で濡れた唇を寄せた。