第9章 ロザリオの祈り(ゾロ+α)
そういえば、クレイオに初めて欲情したのはいつのことだったか。
森の中で自慰に耽ったあの日が、遠くのことのように感じる。
腹が減った。
喉が渇いた。
それらは人間が生きる為に必要な欲求だ。
ならば、クレイオを目にすると湧き上がる、抱きたいという欲求はどうだろう。
腹が減ったら喰う。
喉が渇いたら飲む。
その行為を否定する者はいない。
生きる為に必要なものだからだ。
でも・・・
「ゾロ・・・!」
今、自分の下で苦しそうに眉根を寄せる彼女にそうさせることが、果たして“生きる為”に必要な行為だろうか?
答えは・・・
否。
「おい、顔を見せろ」
彼女を抱くことは、生きる為に必要ではない。
だからこそ、意味があるのだ。
この行為を強いるということは、彼女自身をそれだけ必要としているということ。
飯、水、空気のように。
彼女がこれ以上自分を傷つけることがあれば、殺してラクにしてやるため、ルフィ達と離れることも選択できる。
それほど大事な存在ということだ。
「一つ、聞いておきたい」
ゾロはクレイオに口付けていた唇を離すと、乳房を弄っていた手も止め、ジッと見下ろした。
「お前、男に抱かれるのは初めてか?」
「・・・・・・・・・・・・」
信心深いクレイオは処女かもしれない。
男の性器を見るのは初めてではないと言っていたが、だからといって男を知っているとは限らない。
するとクレイオはゾロを見返すと、ニコリと微笑んだ。
「貴方が二人目」
初体験は15歳。
教会を手伝ってくれていた島の男の子で、初恋だった。
それから一カ月後に強盗に殺されてしまったけれど。
あの時、強く思った。
殺人者を殺すための強さが必要だ、と。
金欲しさに初恋の人を殺した男を赦す気など毛頭なかった。
すると、ゾロは口角を上げた。
「それを聞いて安心した。遠慮は必要ねェってことだ」
「嫉妬するのかと思ったけれど」
「あ? 嫉妬なんかするわけねェだろ」
お前が前の男を思い出すことはない。
そんな暇なんか与えないほど抱き潰すのだから。
ゾロは冷酷とも思える笑みを浮かべながらクレイオの股の間に割り入った。