• テキストサイズ

【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第9章 ロザリオの祈り(ゾロ+α)





「・・・なにが言いたいの?」

余裕の笑みを崩さないゾロに、クレイオの顔には明らかな怒りの色が浮かび上がった。
自分が聖人でないことは、自分が一番よく分かっている。
それをわざわざ他人に指摘されるのは我慢がならない。

右手に持つ剣のかつての持ち主。
一国を救いながらも魔女の汚名を着せられて殺された少女は、今では聖人として語り継がれている。

彼女は真に神から愛された子だ。
・・・自分と違って。

クレイオは右手で持った刀を肩に担ぐようにして後ろに振りかぶり、左肩を突き出しながら斜に構えた。

“どうぞ左肩を斬ってください”とでも言っているような体勢に、ゾロはわずかに首を傾げる。

「なるほどな」

相手が左肩を目がけて斬りかかってくれば好都合。
その勢いを利用して右手に持った剣を振り下ろし、相手の頸動脈を斬ろうというのだろう。
まさにその姿は、罠を張って獲物がかかるのを待つ捕食者のごとく。

「上等だ」

ゾロは口の端を上げると、二本の刀を鞘にしまった。
そして、一本の刀をバットのように持ち、重心を低く落とす。

懐に入れないのなら、斬撃を飛ばせばいいだけのこと。

「三十六煩悩鳳!!」

ドゴォッという轟音とともにクレイオに向かって放たれる、斬撃の大砲。
それを避けるのは、至近距離で発射された砲弾を避けるのと同じだ。
すぐに刀を振り下ろしてその衝撃を受け止めたが、そのせいで次の所作まで遅れが生じる。

ゾロが刀を持ち替えたのが視界の端に映った。
この男の一撃を加えるまでの動作は、自分よりも遥かに速い。
受けることも、避けることもできないだろう。

ならば、クレイオの取るべき選択肢は一つ。


「・・・ッ・・・!」


武装色の覇気を使って硬化させた腕で、胸元を斬りつけてきたゾロの刀を受ける。
ガキンと金蔵が滑る音がして、『和道一文字』は弾かれていた。

「ほう、覇気か・・・」

だがゾロはさらに満足そうに微笑むと、今度はクレイオの武装した腕を掴んで自分の方に引き寄せた。









/ 1059ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp