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【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第9章 ロザリオの祈り(ゾロ+α)




「でも、甘ェな」

ゾロはクレイオの剣を払うと、相手の胸のあたりを斬るように水平に『秋水』を振った。
もちろんそれで仕留めようとは毛頭考えておらず、これは自分の技が遺憾なく発揮できる距離を測るため。


「鬼斬り!!」


両腕を交差したまま突進し、相手を斬りつけるこの技は、そう簡単に躱せるものではない。
クレイオは避けることを諦め、刀を打ち合わせて防御することを選んだらしい。
ちょうどゾロの二本の刀の切っ先同士が身体の前でクロスする瞬間に合わせ、自分の刀を押し当てて斬撃を上にそらす。
間髪入れずに左から回り込むと、ゾロの側頭部を肘打ちで殴打した。

「ッ!!」

なんだ、剣術だけでなく体術も使うのか。
そういえば前にクレイオを押し倒した時、的確にみぞおちを殴ってきたのを思い出す。

おそらく、シャンクスに放り込まれた島では、武器を持つ暇なく襲われることも多々あったのだろう。
さらに地面すれすれまで体勢を低く取り、ゾロのアキレス腱を狙って斬りつけてくるクレイオ。

すんでの所で避けると、バランスを崩したところに身体を一回転させながら刀の柄でゾロの首の後ろを強く殴ってきた。

「グッ・・・」

痛みというよりは、呼吸ができない苦しみが襲う。
声帯にも衝撃が走り、声すら出す事ができなかった。

「てめェ・・・」

これがクレイオの剣術か。
型の美しさなどまるで無視した実戦重視の戦い方は、くいなとまったく違う。

くいなの戦い方は見惚れてしまうほど華麗だった。
流れるような動きに翻弄され、いつの間にか自分の急所を突かれていた。
強く憧れたし、あの頃は目標としていた。


「ゾロ、何を笑ってるの?!」

「いや・・・今の動きで分かった」


だが、クレイオはどうだ?

実力、腕力、体格、全て自分を上回る相手でも、倒すために手段を択ばず、“殺す”ことのみを重視した剣術。
身体能力もそれに合わせて極限まで高められている。

7歳の時に初めて持った剣で大人を殺すことができたのも頷ける。

この女は・・・


「───お前はまさに悪魔だな」


その瞬間、クレイオの表情が変わった。









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