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【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第9章 ロザリオの祈り(ゾロ+α)





人を殺した罪と向き合いさせるため、シャンクスがクレイオを連れて行ったのは、殺人が日常的に行われている島。


“この島で生き抜いてみろ、クレイオ”


ここは戦争をしている国よりも死者が多いといわれている、地獄に最も近い場所。
7歳のお前が生き抜くにはあまりにも過酷な環境だ。
海軍すら見放したこの島で、お前は様々な犯罪を目にするだろう。


“快楽のための犯罪、生きるための犯罪、大事なものを守るための犯罪・・・”


子どもには一番見せたくない光景だ。
でもクレイオは目を逸らしてはいけない。

母親が火あぶりとなり、怒りに任せて村人を殺したのは快楽のためだったのか。
生きるためだったのか。

それとも、守るためだったのか。


“この島にたったひとつだけ教会がある。そこでは常に犯罪の恐怖に怯える子ども達が生活している”


どのような形でもいい、お前の力で彼らを守るんだ。
そのためには武器が必要だろう。

シャンクスはクレイオに一振りの剣を渡した。


“こいつは『菊幻』。領土をめぐって百年続いていた戦争を、たった一人の力で終焉に導いたという聖女が持っていたとされる剣だ”


それは今から数十年前、長い戦争で今にも滅びようとしていた、ある島で起こった出来事。

ある日突然、神の声が聞こえて救国の命を受けたという15歳の少女が現れた。
彼女は剣と旗を掲げながら群衆を奮い立たせ、首都を包囲していた敵軍を破って国の危機を救った。
だがその後、宗教裁判によって魔女の宣告を受けて火刑となった。
教養も軍人としての知識もない田舎の少女が、一国の軍隊を率いたということが悪魔の所業とされたのだった。

その彼女が持っていたという、刀長70センチ余りの名刀。


“この剣はお前に相応しい。自分が悪魔なのか、聖人なのか・・・この剣を持って地獄を生き抜いた時、お前はそれを見極められるだろう”


シャンクスはもしかしたら、世界で一番厳しく残酷な師匠かもしれない。

だが、それ以外にクレイオを本当に救う手立ては無かった。











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