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【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第9章 ロザリオの祈り(ゾロ+α)





まだ夜明けまで時間があるというのに、いつも母と二人で行く教会は煌々としていた。
足の裏を泥だらけにさせながら教会にたどり着いた、クレイオの目に飛び込んできたもの。

それは、十字架に見立てた柱に縛り付けられた母の姿だった。


「・・・!!」


柱の下に敷き詰められた薪やワラ。
母は服を切り裂かれ、半裸の状態になっていた。


「白状しろ、貴様は魔女だ!」

村長が十字架を母にかざしながら、悪魔のような形相を向けている。
母の肌には何本もの針が突き刺さり、すでに耐え難いほどの拷問を受けていることが子どもの目にも明らかだった。

「私は・・・神にこの身を捧げた者・・・魔女ではありません」

「黙れ!! 貴様が満月の夜になると墓場へ出向き、悪魔と逢瀬を重ねていることは知っている!!」

「・・・・・・・・・・・・」

満月の夜・・・
確かにどこかへ出掛けていたが、まさか墓場だったとは・・・

クレイオは恐ろしくなり、そばの茂みに隠れるようにしゃがみこんだ。


「クレイオはいったい誰の子だ! 本当に貴様一人で身籠ったというのなら、それこそが魔女である何よりの証!!」


すると、教会に集まった村中の大人達が一斉に“そうだそうだ”と叫んだ。
黒髪のクレイオを見れば、父親はこの村の人間でないことは明白。

教会を照らす、何百もの松明の炎。
風に揺れる、十字架の旗。

母はジッと村人達を見据えると、浅い息を吐きながら声を絞り出した。


「───クレイオは私の子・・・ただ、それだけです」


たとえ父親が神であろうと、悪魔であろうと。
一人で育てていくと決めたその日から、クレイオの親はたった一人。

揺るがぬ意志を持ったその瞳に、村長はわずかに狼狽えを見せる。
しかし、村人の一人が母に石を投げつけたことで、魔女を狩ろうとする人間達はますます狂気の渦へと飲み込まれていった。







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