• テキストサイズ

【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第9章 ロザリオの祈り(ゾロ+α)




「私の可愛い天使、どうしてそんなことを聞くのです?」

「だって・・・私の髪は黒いし、目も青じゃない。みんなが言うのよ、私の本当の親は悪魔で、お母さんは私がかわいそうだから育てているんだって」

すると母はクスクスと笑いながら、繋いでいたクレイオの手をキュッと強く握る。

「貴方は神様や聖母様の御姿を見たことがありますか?」
「教会の像や聖書の絵でなら・・・」
「でも、それは私達人間が想像し、描いたものでしょう?」
「・・・・・・・・・・・・」

母はクレイオを生んでから修道院を出て、村外れの小さな小屋に住んでいた。
でも一日二回、朝と夕にこうして二人で教会に行き、祈りを捧げる。

「もしかしたら神様と聖母様は、この島の人間と同じ金色の御髪をしていらっしゃるかもしれない。でも、もしかしたらクレイオ、貴方と同じ色なのかも」

夕日はまっすぐと教会のステンドグラスを照らし、赤、黄色、青、緑、色とりどりの光を地面に落としている。
とても綺麗だと思った。
黄金色に輝く母の髪と、その横顔も。

「黒は光を飲み込んでしまうとても強い色・・・だから、貴方の髪は私のものよりもずっと美しい」

外に跳ねるクセのあるクレイオの髪を撫でる手は、とても愛情に満ちていて。


「強さを秘める黒髪を持つ貴方だからこそ、これだけは覚えていて欲しい」


貴方はこの島の誰よりも強い。
この小さくて愛おしい身体には、黒刀を持つ剣士の血が流れている。

だからこそ・・・


「何を言われようと、どんなに傷つけられようと、その人を赦してあげなさい」


貴方を罵る者は、ただ怖いのです。
未知のものに恐怖を覚えているだけ。

新世界という特異な海にあり、さらに不安定な磁気の関係でこの島を訪れる外国の人は少ない。
だからこそ、この島の住民は狭い世界の中で互いを監視しながら生きていくしかないのです。

ああ、なんと憐れな子羊達。

世界は、海は、とても広いというのに。


「赦しの心を持つ者にこそ、神の祝福はあるのですよ」


教会へと続く一本道を歩く母は、とても清らかで、慈悲深く・・・

まるで祭壇を見下ろす聖母像のようだった。









/ 1059ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp