第9章 ロザリオの祈り(ゾロ+α)
神への信仰を宣言することから始まり、主の祈り、聖母への祈り、そして詠唱までを一連として、ロザリオの十字架から珠を一つ一つ辿りながら唱えていく、“ロザリオの祈り”。
時間にして1時間、ゾロにとっては退屈なだけだったろうが、居眠りをすることなくクレイオの後ろで胡坐をかきながら祈りに耳を傾けていた。
そして、最後の詠唱が終わると立ち上がり、十字架の前で跪いていたクレイオを背中から抱きしめる。
「・・・神様の御前なんだけど」
「うるせェ。おれはこの目に見えるモンしか信じねェ」
「・・・・・・・・・・・・」
「けど、お前はここに神がいるって思ってんなら、隠し事はできねェよな?」
神の前で偽りを口にするのは禁じられてんだろ?
そう言って、ニヤリと笑った。
「お前、言ってたな。この島に来たのは、ミホークの心を知るためだって」
「・・・うん」
「お前、そいつを知ってどうするんだ」
クレイオを抱きしめるゾロの腕には、無数の刀傷。
ミホークにつけられたものもあるし、ヒューマンドリルにつけられたものもある。
クレイオがそっとゾロの傷を撫でていると、後ろから左頬にキスをされた。
「そいつを知って、お前は耐えられんのか」
もしミホークにお前への愛情が欠片もなかったらどうするんだ。
そんな顔して・・・昨日はぶっ倒れまでしたお前が、平常心でいられるとは到底思えねェ。