第9章 ロザリオの祈り(ゾロ+α)
自分はいったい・・・
今まで、ゾロの何を見ていたのだろう。
「ゾロは・・・ミホークを殺すのが目的じゃなかった・・・」
“おれが必ず倒すと決めた男と同じ血と目を持つ女・・・逃がすわけがねェ”
彼の凶暴な部分しか見ていなかった。
ミホークに稽古をつけてもらうゾロは、いつも楽しそうだった。
あの表情を見れば、ゾロが敵意を持ってミホークに接しているわけではないことぐらい、簡単に分かったはずなのに・・・
「やっぱり私・・・ゾロと話さなきゃ」
ゾロには自分の命を懸けてでも守りたいものがある。
命に代えてでも、叶えてやりたい他人の夢がある。
彼にとってミホークはもはや終着点ではなく、通過点。
「もっと彼の目を見て、話したい」
身体が震える。
これは嫌悪感や寒気じゃない。
「ゾロのことをもっとよく知りたい」
───嬉しいんだ。
「そして、私のことも知ってもらいたい」
それまで青白かった顔に赤みが戻り、そう言って微笑んだクレイオに、ペローナは安心したように頷く。
「ああ、そうしろ。あいつはバカだから、ちゃんと話さねェと分からねェからな」
もちろんペローナはゾロがクレイオに身体の関係を迫っていることは知らない。
それでも、クレイオが倒れて落ち着かないゾロを見ているのはうっとおしかったし、自分は一人だと悩んでいるクレイオを見ているのも嫌だ。
ならば、自分がそうだったように、クレイオとゾロも打ち解け合えばいい。
「ペローナ、本当にありがとう」
「だから、礼はさっき聞いたからもういらねェ!!」
ペローナはクレイオが元気になるのなら、それで満足だ。
チキンスープの方が粥よりも喜ばれたから、ゾロに対して優越感も持てる。
「じゃあ、私はもう行くからな。お前もそのスープを飲んだら、ゆっくり寝ろ」
照れた顔を隠すようにしながらドアをすり抜けていったペローナを見送り、クレイオは布団をギュッと掴んだ。
「・・・・・・・・・・・・」
明日、ゾロに全てを話そう。
まずは心を許してみよう。
そう決意して───