第9章 ロザリオの祈り(ゾロ+α)
「ペローナ・・・それってどういう・・・」
「確かに昔は鷹の目を倒すことが目標だったのかもしれねェが、今は違う」
それはゾロとペローナがこのシッケアール王国で再会した時のこと。
ゾロはシャボンディ諸島で負った傷で瀕死の状態だった。
その手当をしたのは、ドクトル・ホグバックから多少の医療知識を得ていたペローナだったが、腑に落ちない点が一つあった。
「バーソロミュー・くまにやられたにしては、ロロノアの怪我があまりに酷ェからミホークに聞いてみたんだ。くまから何か聞いちゃいねェかって」
それで知った事実。
ペローナがスリラーバークから飛ばされたあと、くまはモリアを倒した麦わら海賊団と接触した。
“お前達の命は・・・助けてやろう。その代わり、麦わらのルフィの首一つ、おれに差し出せ”
くまの出した条件を、その場にいた全員が拒否した。
だが、世界政府から命を受けていたくまが引き下がるわけがない。
ゾロは代わりに、一つの条件を出した。
“身代わりの・・・・・・このおれの命一つで!! 勘弁してもらいてェ・・・・・・!!”
「あいつは野望は、麦わらを海賊王にすること。世界一の剣豪になるという、本来のテメェの野望を簡単に捨てられるぐらい、それはロロノアにとっちゃデケェもんなんだそうだ」
麦わら海賊団がグランドラインを制覇するためには、どうしても強さが必要になる。
だから、ミホークを倒すのではなく、ミホークを超えるためにゾロは力をつけようとしている。
“ルフィは海賊王になる男だ!!!”
ただ、それだけを信じて。
「だからアイツは、麦わらとその一味が殺されそうになったら、迷わず自分の命を差し出したんだ。麦わらがいなけりゃ、自分の野望もクソもねェからな」
ペローナにしてみれば、つくづくバカげた行為だと思う。
でも、そのバカさがゾロのいいところなのかもしれない。
ちょっぴりそう思えるくらいには、ゾロとペローナは打ち解け合っていた。