第9章 ロザリオの祈り(ゾロ+α)
普段は素直じゃないペローナが、こんな風にいろいろと話してくれるのは、きっと彼女なりにクレイオを励まそうとしているからだろう。
「ありがとう、ペローナ。おかげで気持ちが軽くなった」
「べ、別に・・・私はただ、お前に早く良くなってもらわねェと困るからだ!」
クレイオはペローナにとって初めてできた友達であるように、クレイオにとってもペローナは境遇を気にせずに付き合ってくれる、初めての友達だ。
そして、ゾロも───
「私はゾロともちゃんと話をした方がいいのかもしれない」
「ロロノアか?」
「ミホークを倒すことが目標だと知ってから・・・この人には心を許しちゃいけないと思っていた」
正直に言ってしまえば、私はロロノア・ゾロが怖い。
これ以上、彼のことを深く知るのが怖い。
「ミホークの首を狙う人間は星の数ほどいる。それに、いくら七武海という称号を持っていても、犯した罪はいずれ必ず償わなければならない時がくる」
海賊に殺されるか、海軍に裏切られるか。
海賊という生き方を選び、世界最強の剣士である以上、ミホークには常に敵がいる。
「それは理解しているのに・・・実際にミホークを殺すために強くなろうとしている人を見ると、その人が怖くてたまらない」
否、怖いのは自分自身だ。
ゾロが本気でミホークを殺そうとした時、私はこの手に剣を握ってしまうかもしれない。
そして、敵わないと分かっていても、ゾロに斬りかかるかもしれない。
娘と認めてくれない父を守るために。
「ふーん、ロロノアが怖い・・・ねェ」
ペローナはフワフワと身体を宙に浮かばせながら、クレイオを見下ろして笑った。
「ロロノアの野望が鷹の目を殺すことだと思ってんなら、そりゃお前の勘違いだ」
それは思ってもいなかった言葉だった。